皆既月食と 星野道夫と

昨日の皆既月食は、途中曇り空になるのでは?と少し危ぶむ時間もありましたが、驚くほど鮮明に、そしてドラマティックに展開し、私たち地球人の視点をしばし宇宙視点に引き上げ、慌ただしい分刻みの時間から天体時間にシフトしてくれました。

買い物帰りにとてもいい塩梅に欠けてきた月。

ついついそのまま90分くらい、近くの森で、そして最後は自宅マンションの中庭で、欅の木にもたれかかりながら口をぽかんと開けて魅入っておりました。(今日の首の痛み、足のしもやけはその勲章(笑))

この皆既月食を境に、すーっとこの2年と十ヶ月近くのわたしの乳がんドラマの時間が終息していくのを感じました。

そして

人間ドラマではなく、この宇宙に、大自然に、心を震わせながら生きていきたい

そう強く思いました。

心が本当にゼロになって、満ちていきました。

 

そんな感動冷めやらぬ今日、雪の降り始めた夜に、録画しておいた 故 星野道夫の足跡をその息子さんが辿るドキュメンタリーを観ました。

星野道夫に関しては、言葉にすることができないくらいの 深い共感と 不思議な親近感で、文字通り夢中になってその写真集やエッセイに没頭した時期があります。

彼が見たもの、感じた世界、触れたかったもの、感じていた風を感じては、その片鱗が自分の魂の原風景にないか、ダイビングをするように、何度も何度も心の中に潜って探しました。

そして彼が私たちを誘ってくれたネイティブスピリットの世界の端っこに、自分の魂をつなげてもらったような感覚を覚えたものです。

今になって思うととても不思議なのですが、乳がんとわかって一番最初に星野道夫を読み、大自然の中から命を見つめなおしたり、スピリットとしての自分を感じなおす旅をしても良かったはずでした。

でも、私はそこではなく、生身の人間としての自分自身を、個としての自分を、そして今まで目を向けてこなかった人間の織りなすドラマや目の前の現実の社会に目を向け直し、それを善悪抜きに愛し直す旅を選んだのでした。

それは、自然や魂の世界、生き物としての人間のあり方にばかり目を向けてきた私のアンバランスさを、私個人、そして、私を取り巻く目の前の事象や人間の社会にも繋げて、バランスする時間だったように感じます。

そして、その旅も自分の中で一段落し、バランスを取り直し、さて、この先私が残りの人生を生きるのに、どこに、何に、自分自身をおいていくのだろうと考えていたのですが、星野道夫が連れて行ってくれたあの世界に、私の人生の軸足を置く場所として、心がすーっと 自然に おさまっていったのでした。

明日は仕事はおやすみ。そして、外は雪が静かに降り積もっています。
今夜はもう少し、星野道夫のエッセイや写真を読み直しながら、この静かな心を ただ感じながら、そして、ここが帰って来る場所だよと刻みながら 過ごしたいと思います。

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