私とイナンナの冥界下り

image人と人とが真から分かり合うのはなかなか難しく、どんなに親しい人でも共通の理解や共通の言語を持って語り合えているのかと言うと、しばしば疑問だったりします。

けれど時々「人生って面白い!」「わお!なんですか?この出会いは!」「こんなところでこんな繋がりが?!」と言うエキサイティングな事が起こります。

最近のわお!は、ある女神を通じての不思議な見えないご縁でした。

ハワイのジンジャーヒルにて世界的な女神の版画家である小田まゆみさんが主催する女神塾で、様々な女神にであった事は以前blogに書きました

その中でも、私の心の奥深くに響き、私が激しく共感し、怖いほどの繋がりを感じたのは、世界最古の女神の神話「イナンナの冥界下り」です。

……イナンナの冥界下り……
シュメールの古い古い時代の女神であり、その後の聖母マリアやデメテールなどの女神やキリストの復活の原型であるともされるイナンナは、地上の世界を統治する偉大な女神で、全ての力を与えられた、気高く、自由奔放で、恐れを知らぬ女神です。

そのイナンナは、ある日冥界を統べるエレシュキガルと言う姉の元に会いに行くことにします。姉の喪に立ち会うためとも、ただ行きたい衝動に駆られたちめとも、内なる呼びかけに応えてとも伝えられます。

冥界では地上の世界での掟やルールは一切通じません。気高き女王は、門番に次々と身につけていた装飾品や衣服を始め、その力やペルソナを取り上げられていきます。地上界でのルールは冥界では一切通用しません。最後には裸になったイナンナは、更に嘆きの最中にある姉のエレシュキガルに「死の眼差し」を向けられ殺されてしまいます。image

三日三晩そのむくろは木に吊るされ腐敗します。3日たっても戻らぬ女主人からの言いつけを忠実に守って、忠実なるしもべニンシュブルは父エンリルと父なるナンナに助けを求めますが、彼らは応じません(夫のドゥムジはこの間イナンナの不在にも悲しみにも気づかず王座で楽しみに饗じていたため、後に恐ろしい報いを受けます)。

最後には知恵の神であり水の神エンキが、爪から精霊を作り「生命の植物」と「生命の水」を持たせ、エレシュキガルの怒りを治める知恵を授けて冥界に行かせ、精霊のエレシュキガルへの慰め(エレシュキガルは無意識層に眠るもう1人の自分とも言われます)と生命の水と植物によりイナンナは復活します。

そして、地上に戻ったイナンナは自らも手に入れた「死の眼差し」で、自分の危機に気付きもしなかった夫を見つめ、冥界が求める身代わりに夫とその姉を差し出し、地上の世界の女王として全ての命を統べるのです。

冥界での死の体験を経て得た死の眼差し、死さえも司る力をもって。
………

そんなイナンナの神話に深く打たれたのが36の時、今から8年前でした。

以来、毎月の生理、新月に訪れる闇の時間(生理も新月も三日三晩)を迎える度に、また人生の新しい局面を迎えて今までの自分のペルソナが一度死を迎える場面に遭遇した時に、私に寄り添い、背中を押し、そして、時に厳しく前に進むように命じてきた気高き女神がイナンナとなりました。

そして、今回の乳がんを知った時にも、真っ先に思い浮かんだのが、イナンナだったのです。

ああ、私は乳がんを通して女神修行をするように、無意識レベルでセットしてきたのだな、直感でそう思いました。
乳がんを通して、死と再生のプロセスをたどる旅。その旅は地上(意識の世界)を統べる力(コントロール)、冥界(死)を知らぬ幼き認識、父なる神々から与えられた力(男性原理、社会的ペルソナ)を、全て一度冥界(無意識)の門番に剥ぎ取られ、丸裸になり、姉の(無意識レベルにいる、怖れ怒れるもう1人のペルソナ)の死の眼差しにすくい取られ、心理的な死を体験して、骸になるプロセスそのものなのだと感じます。

女神イナンナよ、それはどんなに恐ろしかったでしょう、今あなたの苦しみが初めてわかります、そのプロセスのもつ意味も、そしてその道の険しさも…そう感じながら一年を過ごしてきました。

知恵の神が遣わした2人の慰め人の精霊による無条件の共感・慰めと、生命の水と生命の植物で蘇るのか。死の認識とその認識がもたらす女神の力を手に入れて、地上に戻れるのか。それともこのまま腐った骸になっていくのか。

それは、これからの私の勇気と生き方次第。

そんな私の冥界下りですが、なんと!同じことを、国立がん研究センターでがん患者の精神ケアをしていらした精神科医の大島淑夫先生が精神科医として女性のがんを同じ捉え方をしていらっしゃったのです(*^^*)

昨年「イナンナの冥界下り」の能の上演をされ、著作も出されている安田登さんとの対談は、とても端的にお二人の捉え方が書かれているのでご興味がある方は覗いてみてください。

http://www.mishimaga.com/special01/097.html

ユングは、集合無意識で全ては繋がっていて、全てが必然であると捉えていましたが、今回は本当に驚き、また人生の不思議、面白さに、わお!でした。image

私の冥界下りに、見えないけれど繋がっている命綱、そして、この旅の方向でいいのだと伝えてくれる篝火を見つけたような気分でした。

私の冥界下りの旅はこれからが正念場、イナンナに力を借りながらの女神修行が続きます。